補助金の採択率の見方|公表値の読み方と回ごとの違い
採択率は「採択件数÷申請件数」
採択率は、その回に申請した件数のうち、採択された件数の割合です。事務局や中小企業庁が回ごとに申請件数と採択件数を公表しており、ものづくり補助金のように採択率まで載せているものもあります。
見るときは、必ず事務局や中小企業庁が公表した回ごとの数字を使うことです。「平均〇%」「今回は〇%程度」といった数字は、どの回のどの枠の数字なのか、推計ではないのかを確かめる必要があります。
ものづくり補助金の直近の公表値
ものづくり補助金の公式サイトが公表している、直近5回の結果です(2026年9月時点)。
| 締切回 | 採択の公表日 | 申請者数 | 採択者数 | 採択率 |
|---|---|---|---|---|
| 19次 | 2025年7月28日 | 5,336 | 1,698 | 31.8% |
| 20次 | 2025年10月27日 | 2,453 | 825 | 33.6% |
| 21次 | 2026年1月23日 | 1,872 | 638 | 34.1% |
| 22次 | 2026年4月30日 | 1,552 | 582 | 37.5% |
| 23次 | 2026年8月7日 | 1,275 | 448 | 35.1% |
23次は枠ごとの内訳も公表されています。製品・サービス高付加価値化枠は申請1,169者のうち418者(35.7%)、グローバル枠は申請106者のうち30者(28.3%)の採択でした。同じ回でも枠によって率が違うことが分かります。
小規模事業者持続化補助金の公表値
持続化補助金〈一般型・通常枠〉は、中小企業庁が申請件数と採択件数を公表しています。
- 第17回(2025年6月13日締切): 申請23,365件、採択11,928件(件数から計算すると約51.1%)
- 第18回(2025年11月28日締切): 申請17,318件、採択は当初8,330件と公表。その後、申請要件を満たしていない101件が含まれていたとして8,229件に修正(修正後の件数から計算すると約47.5%)
- 第19回(2026年4月30日締切): 申請16,576件、採択7,819件(件数から計算すると約47.2%)
第18回のように、公表後に採択件数が修正されることもあります。数字を引用するときは、修正のお知らせが出ていないかも確かめます。
同じ持続化補助金でも、型が違えば数字も違います。創業して間もない事業者向けの〈創業型〉第2回(2025年11月28日締切)は、申請3,220件に対して採択1,226件と公表され、のちに1,225件に修正されました(修正後の件数から計算すると約38.0%)。同じ時期の〈一般型・通常枠〉第18回とは、率が10ポイント近く離れています。
回によって率が変わる理由
採択率は、申請の出来だけで決まるものではありません。公表値を見るときは、次の点を頭に置いておきます。
- 申請の数が回ごとに違う: ものづくり補助金の申請者数は、19次の5,336者から23次の1,275者まで大きく減っています。分母が変われば率も動きます。
- 予算と採択の枠: 補助金は予算の範囲で採択するため、申請が多い回ほど競争が厳しくなりやすくなります。
- 要件や審査項目の変更: 回ごとに公募要領が改訂され、賃上げの要件、加点の項目、対象経費などが変わります。前の回と同じ条件で比べられるとは限りません。
- 枠や型の違い: 同じ補助金でも、枠(通常枠、グローバル枠など)や型(一般型、創業型など)ごとに要件と競争相手が違います。
率より先に確かめたいこと
採択率が高くても、自社が要件を満たしていなければ審査の対象になりません。申請を考えるときは、率より先に次の点を公募要領で確かめます。
- 申請の要件: 事業者の規模、業種、賃上げなどの基本要件を満たしているか
- 審査項目: ものづくり補助金の公募要領には、書面審査の項目・加点項目・減点項目が載っています。事業計画は、この審査項目に書かれた内容を網羅して作るよう求められています。
- 様式と分量: ものづくり補助金は、本文を電子申請システムに入力し、補足の図表をA4で5ページ以内のPDFにまとめる決まりです。5ページを超えると審査の対象になりません。
- 採択後の義務: 賃上げの目標に届かなかった場合の返還、数年間の報告義務など、採択後に負うことになる義務
採択のあとも道のりは続く
採択は交付の候補に選ばれた段階です。ものづくり補助金の公募要領は、交付申請の精査で交付決定額が申請額より減ることや、全額対象外になる場合があることを明記しています。採択された件数がそのまま補助金を受け取る件数になるわけではありません。
採択率は「その補助金がどのくらい競争的か」をつかむための目安として使い、申請するかどうかは、事業の中身と採択後の義務を果たせるかで決めるのが現実的です。
よくある質問
採択率が高い回を狙って申請したほうがよいですか。
採択率は締切が過ぎて審査が終わってから分かる数字で、次の回の率を前もって知ることはできません。申請の時期は、事業を始めたい時期と、交付決定前に発注できないという決まりから逆算して決めるのが現実的です。
不採択の理由は教えてもらえますか。
扱いは制度によって違います。採択結果の通知とあわせて届く事務局の案内で、理由の開示を受け付けているか、受け付けている場合の申し込み方法と期限を確かめてください。
採択されたら、申請した額の補助金を受け取れると考えてよいですか。
採択は交付の候補に選ばれた段階です。その後の交付申請で経費が精査されて減額されることや、事業を期限内に終えられず取消しになることがあります。採択後に要件を満たしていないことが分かり、採択が取り消された例もあります。
制度の内容は年度ごとに変わります。申請の前に、必ず最新の公募要領をご確認ください。記事の誤りに気づいた方は運営者情報の連絡先からお知らせください。