補助金と助成金の違い|審査の有無・財源・もらえるまでの流れ
違いは「選ばれるかどうか」
補助金と助成金は、どちらも国や自治体などが事業者に出すお金で、借入金のように利息を付けて返すものではありません。いちばん大きな違いは、申請した事業者の中から選ばれるのか、要件を満たせば出るのかという点です。
中小機構が運営する J-Net21 は、助成金を「要件を満たせば受給できる可能性が高い」制度、補助金を「採択件数や予算があらかじめ決まっていて、応募が上回れば受け取れない」制度と説明しています。経済産業省・中小企業庁の補助金の多くは前者ではなく後者で、厚生労働省の雇用関係助成金は前者の代表です。
審査のしかたの違い
補助金は、公募期間を決めて申請を集め、外部の有識者などが事業計画を採点して採択する事業者を決めます。審査項目や加点項目は公募要領に書かれており、たとえばものづくり補助金(2026年9月時点で第23次締切まで実施)は、事業計画を所定の形式でまとめて提出し、その内容で採否が決まります。予算と採択枠があるため、要件を満たしていても採択されないことがあります。
雇用関係助成金は、正社員への転換、職業訓練、賃金制度の整備などの取り組みについて、支給要領の要件を満たしているかを確認して支給を決めます。他社との比較で順位を付けるのではなく、要件を満たしているかどうかの審査です。ただし「予算の範囲内での支給」とされており、年度の途中で内容が変わることもあります。
財源の違い
補助金は、国の予算(補正予算で基金を積んで何年かにわたって公募するものもあります)や、自治体の予算から出ます。
雇用関係助成金の財源は、厚生労働省のパンフレット(2026年4月時点)によると事業主が負担する雇用保険料です。雇用保険料のうち事業主だけが払う部分で運営される「雇用保険二事業」から出ており、そのため受け取れるのは雇用保険の適用事業所の事業主に限られます。労働条件の改善を目的とする助成金は、主に事業主が負担する労災保険料が財源です(一部は国の一般会計)。従業員を雇って保険料を納めている事業主に還元する性格があると考えると、要件を満たせば原則支給という仕組みが理解しやすくなります。
お金が入るまでの流れ
どちらも原則として後払いです。先に自社で支払いや取り組みを終え、その結果を報告してから入金されます。
| 項目 | 補助金(経済産業省系の例) | 雇用関係助成金 |
|---|---|---|
| 選び方 | 公募・審査で採択 | 要件を満たしているかを審査 |
| 主な財源 | 国・自治体の予算 | 事業主が負担する雇用保険料 |
| 始める前の手続き | 採択後に交付申請し、交付決定を受けてから発注 | 計画書などを取り組みの前に提出するものが多い |
| お金を受け取る時期 | 事業終了後、実績報告・額の確定のあと | 取り組みのあと、支給申請・審査のあと |
| 申請の窓口 | 事務局(電子申請が中心) | 都道府県労働局など |
補助金は「採択」がゴールではありません。採択されたあとに交付申請を出し、交付決定の日より前に発注・契約・支払いをした経費は対象外になります。事業が終わったら実績報告を出し、事務局の確認で金額が確定してから請求し、ようやく振り込まれます。
雇用関係助成金も、たとえばキャリアアップ助成金は取り組みの前日までに「キャリアアップ計画」を出すことが求められるなど、事前の手続きがあるものが多くあります。支給申請の期間は、支給要領に定める日の翌日から原則2か月以内で、期限を過ぎると受け付けてもらえません。
名前だけで判断しない
「補助金」「助成金」という呼び方は、法律で使い分けが決まっているわけではありません。自治体や公的団体の制度には、「助成」という名前でも公募と審査で選ぶものがあります。たとえば東京都が募集した令和8年度の「創業助成事業」は、書類審査と面接審査を経て交付を決める仕組みです。
見分けるときは、名前ではなく公募要領や募集要項の次の箇所を確かめます。
- 「採択」「審査」「予定件数」の記載があるか(あれば選ばれる方式)
- 申請の前にしておくべき手続き(交付決定、計画の届出など)
- 支払いの時期と方法(精算払い・後払いか)
不正には重い罰則がある
どちらも公的なお金です。雇用関係助成金で不正受給をすると、受け取った額に加えて延滞金と不正受給額の20%にあたる額が請求され、5年間はすべての雇用関係助成金を受け取れず、事業主名も原則公表されます。補助金も、虚偽の申請や目的外の使用があれば交付決定の取消しと返還命令の対象になります。「申請を代わりに全部やります」といった勧誘には注意し、内容は自社で理解したうえで申請してください。
どこから調べるか
設備投資や販路開拓の費用を補いたいなら補助金、人を雇う・育てる・処遇を上げる取り組みなら雇用関係助成金が合うことが多いです。自社がしようとしていることを先に決め、それに合う制度を探す順番にすると、制度に合わせて事業を曲げずに済みます。
よくある質問
助成金なら申請すれば受け取れますか。
厚生労働省の雇用関係助成金は、要件を満たせば原則として支給される仕組みですが、支給要領の要件をすべて満たし、期限内に申請し、審査に協力することが前提です。書類の不備や期限切れで受け取れないこともあります。
補助金と助成金は同じ事業で両方使えますか。
同じ経費に国の制度を重ねて使うことは、原則として認められていません。一方、ものづくり補助金の公募要領のように、特定の助成金との併給を認めている例もあります。併用したいときは、両方の公募要領・支給要領の「併給」「重複」の欄を確かめてください。
補助金も助成金も返さなくてよいお金ですか。
要件どおりに使えば返済は求められません。ただし、交付の条件に違反した場合や、補助金で定めた賃上げなどの目標に届かなかった場合には、返還を求められることがあります。
制度の内容は年度ごとに変わります。申請の前に、必ず最新の公募要領をご確認ください。記事の誤りに気づいた方は運営者情報の連絡先からお知らせください。